最小費用で最大効率を叩き出すSTP分析
あなたが、会社、事業、ビジネスを起こすなら、STP分析による戦略立案は避けて通れません。
自社について考えながら実践しましょう。
STP、が表す意味
STPは以下の頭文字からできています。
S:Segmentation(市場の細分化)
T:Targeting(顧客の明確化)
P:Positioning(自社の立ち位置の明確化)
この分析は、ある程度「商品やコンテンツの形が見え始めたな」というタイミングで活用します。
- まだ何を作りたいのか、わかっていない。
- 自社でやろうとしている事がまだ決まってない。
- 商品を考えたけど、自社がやるべき商品ではなさそう…
- コンセプトが、ありふれてるものになっている…
そんな方は、一旦環境分析へ戻りましょう!
(PEST分析…政治、経済、社会、技術など外部環境の分析。
3C分析…顧客、競合、自社の分析。
SWOT分析…強み、弱み、機会と脅威によるクロス分析。)
STP分析は歴史ある、現在のマーケティングの本質
STP分析の提唱者は、フィリップ・コトラー。
マーケティングを少しでもかじった人は、きっと聞いたことがある名前ですね。
そのコトラーが『マーケティング2.0』の中でマーケティングの基礎として提唱したのが、このSTP戦略になります。
初期のマーケティングというものは、常に「マス(大きな市場)に対する」施策を打っていました。
しかし、続く不況や供給過多の影響から、ものが売れなくなってしまい「どうすればいいのか?」という打開策として提唱されたのがSTP分析です。
登場は1990年頃と古いものの、「消費者が何を望んでいるのか?」という現在のマーケティングの本質から考えられた戦略フレームであり、まだまだ現役のマーケティング手法としての有用性は高いです。
市場の細分化とは?
「車」で考える市場分析
「市場の細分化」といってもピンと来ないですよね。
これが意味をすることは簡単に言えば、「ニーズが類似している顧客をまとめること」です。
市場の細分化を、車を例に考えてみましょう。
初期のマス向けのマーケティングは「車が最近欲しいです!」というニーズに対し車を作って売るというものです。
当時は、これだけでモノが売れていました。
しかし、供給過多市場ではそれだけではダメ。
この後ろに隠れているもっと細かなニーズが必要になってくるのです。
市場は細かなニーズで出来上がっている
例えば、、、
「車が最近欲しくて…4人ぐらい乗れてキャンプで使えるといいな」
このニーズを満たしたのが、キャンピングカーです。
- キャンプするのにテントを張るのはめんどくさい。
- 車でキャンプ出来ればあったかいし、安全。
これらのニーズを満たすために生まれたのがキャンピングカーです。
モテるためでも、お金持ちに見せるためでも、砂漠を走るためでもありません。
セグメンテーションとターゲティングは連動する
ここまで読んでなんとなく気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、マーケットの「セグメンテーション策定」と「ターゲティング選定」は連動するものです。
セグメンテーションは厳密には「どんな項目で、どんな属性で分けるかを決める」作業まで。
ターゲット選定はこのセグメンテーションの各項目に対し、「自社のターゲットはどの属性に位置するか」を考える作業です。
STP戦略のセグメンテーション 8つの要素
それでは実際に、セグメンテーションで「市場を分ける」際の基準についてお話しします。これはあくまで「例」なので、自社の製品、サービスによっては違うものも色々と考えてみてくださいね!
1.人口統計的要素
基準の例)年代、性別、学歴、職業、既婚未婚、家族構成
2.経済的要素
基準の例)年収、貯蓄額、生活水準、購買活動の予算
3.社会的、文化的
基準の例)生活スタイル、社会的ステイタス、
4.地理的要素
基準の例)住居、職場・学校の所在地、居住環境(都市、郊外)、居住地の人口・規模
5.移動手段的要素
基準の例)通勤、通学手段、移動手段(徒歩、自転車、車など)
6.心理的要素
基準の例)価値観、趣味嗜好、習い事、性格、スポーツ、購買動機
7. 情報取得媒体要素
基準の例)インターネット(スマホ、PC)、新聞、雑誌、テレビ
8.購買行動要素
基準の例)自店(競合店)との関係の深さ、セールなどのへの反応度、ブランドへの愛好度
これらのセグメントはあくまで「例」です。
また、どんな事業、製品、サービスにも関係するテーマは「基本セグメント」、自社の事業、製品、サービスに特化して関連してくるテーマは「固有セグメント」と呼びます。
STP戦略のターゲティングについて(顧客の明確化)
セグメンテーションの次にすることは、「ターゲティング」です。
ターゲティングを簡単に説明すると、市場におけるニーズを細分化し顧客を絞り込むことです。
「ん?これって、セグメンテーションと同じじゃないか」
そう感じた方もいるかもしれませんね。
では、セグメンテーションと何が違うのか?これについて考えていきましょう。
分けて→絞り込む。「注意すべきは、S→Tの順番」
STを通じて行うことは顧客の細分化、つまりニーズの絞り込みなのですが、そう簡単に、一発でニーズを掘り当てることなんて出来ませんよね?
だから、まずは商品を打ち出すべき市場が決まった段階で「市場におけるニーズのセグメンテーション(分ける要素)を洗い出す。」
これが「セグメンテーション」です。
一方、ターゲティングは洗い出したセグメンテーションを「自分の商品を最も魅力的に評価してくれる顧客」という視点で絞り込むことです。
セグメンテーションは「ただ分ける」
ターゲティングは「そこから絞る」。
ここで一つ注意です。
セグメンテーションをしながら、ターゲティングを同時に行なってはいけません。
理由は「思い込み、先入観で間違った答えを導いてしまうことがあるから」です。
セグメンテーションとターゲティングは混同されがちですが、順番を念頭に置いておけば、間違えることありません。
STP戦略のポジショニングについて(自社の立ち位置の明確化)
顧客、差別化から導くポジショニング
STPの最後は、「P:ポジショニング」です。
ここでは、あなたの商品を競合の商品と比べどの部分を差別化しているか、自社の立ち位置をチェックしてください。
また、ポジショニングを考えるにあたって、セグメンテーションとターゲティングで決めた枠以外の要素が出てくる場合があります。
その部分に関してはもう一度、「セグメンテーション」からやり直してくださいね。
ポジショニングを明確化する目安の評価軸は2〜4つ
対象の製品、セービスの属性、連想されたペルソナの要素など、2つを取り上げて交差させることで、独自のポジションが見えて、ポジションもターゲットも維持することができるようになりす。
もちろん各軸の両端は、それぞれ対立概念にしてください。(高い↔︎安いなど)
手順としては、次の4つのステップが必要になります。
- 商品・サービスカテゴリの設定
- 価値軸の選定
- ポジショニングマップ作成
- 独自性の発見
1.商品・サービスのカテゴリの設定
商品、サービスのカテゴリを決めることで、他社の競合製品・サービスが自ずとわかります。
そして、それらはきっと先ほどのセグメンテーション、ペルソナの分析で扱った要素からそれぞれの顧客像が導かれることと思います。
2.価値軸の選定
自社の製品・サービスの特徴を表す属性、ペルソナの持っている特徴や属性から2つの軸を決めて交差させ、自社の製品・サービス、競合他社製品・サービスの位置を決めていきます。
どの軸を使えば、自社製品・サービスが、他社と差別化できるのか。自社の強み、市場のニーズに合わせて自由に設定しますが、軸の組み合わせとしては、基本的に1~4つまでに絞り込みます。
3.ポジショニングマップ作成
下に図を載せますが、2軸を交差させ、自社、競合他社のポジションを確認していきます。
このマップでもし競合と位置が被ってしまった場合は、新しい軸を入れて再検討することをオススメします。
4.独自性の発見
ポジショニングマップで発見した「競合と被らない、価値軸の組み合わせとそのポジション」。
それこそが、自社の製品、サービスの「独自の価値」になります。
(↓ポジショニング主導ではない、競争戦略の考え方はこちらからご覧ください。)
流行りのカフェのポジショニングマップ
今回は例として、カフェ業界でマトリックス図を作ってみました。

単純に有名どころ4つのカフェを挙げましたが、【高価格・低価格】【ラグジュアリー・カジュアル】ということで相関は見られるものの、独自に打ち出しているポイントがわかりますね。
このように、ポジショニングマップを作って、自社の商品ポジションを考えてみると特徴が可視化されて明確になります。
以上が、STP分析です。
STP分析のまとめ
STP戦略は、非常に使いやすく、小規模の市場であれば1人で全行程を考えられるので、ざっくりした戦略を立てるのには、非常に有効な戦略フレームです。
S:Segmentation(市場の細分化)=顧客の属性を分けることで、市場の細分化を行う。
T:Targeting(顧客の明確化)=セグメンテーションで分けた属性から、ターゲットとなる顧客層の評価を行う
P:Positioning(自社の立ち位置の明確化)=ターゲットとした顧客層に参入するためのポジショニングを明確にする。
- PEST分析
- 3C分析
- SWOT分析
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- マーケティングミックス
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